
自分がオーナーではないですが、これまで次の介護施設の経営に携わっており、現在進行形で経営をしています。
- 有料老人ホーム(サ高住)
- デイサービス
- 訪問介護(ヘルパー)
- グループホーム
- 小規模多機能ホーム
経営に携わる中でよく「介護施設って儲かるの?」という質問をされます。
介護施設の経営は他業界と違って特殊なものです。
本記事では実際に介護施設を経営している経験から「介護施設は儲かるのか」を解説します。
今回は「デイサービス」についてご紹介します。
- 介護施設を立ち上げたい
- 介護施設を経営している
- 介護施設の裏側を知りたい
上記に該当する方にお役に立てる記事になっていますので、最後までお付き合いくださいませ。
デイサービスとは
デイサービスは、施設に入所せず、昼間に日帰りで利用できる介護保険サービス「通所介護」の通称です。
利用者は自宅で生活しながら日帰りで施設に通い、体操や食事、入浴などのサービスを受けられます。
デイサービスの大きな特徴は「日帰り」であることです。
(お泊りデイサービスといって、泊りもしているデイもありますが、ここでは除きます)

極端に言うと、ずっと座ってテレビを見ているだけのデイもあれば、リハビリから入浴まで行うデイもあります。
もちろん高齢者の状態によってサービスが異なってきます。
デイサービスは儲からない?
結論から先にお伝えします。
もうちょっと詳しくお伝えすると、次の通りです。
大きく儲けることはできません。
正しく経営をしていれば、そこそこ儲かります。
逆に言うと、正しく経営しないとすぐに赤字になります。

大きく儲けるのが目的ならば、デイサービスを立ち上げるのは止めた方がいいです。
これはデイサービスに限らず、介護施設全般に言えることです。
「そこそこ儲けることができて、社会貢献できればいいや!」という考えでない限り、介護施設は立ち上げない方が無難です。
デイサービスを実際に経営してわかったこと
ではなぜ「正しく経営しても、そこそこしか儲からないのでしょうか」実際経営して、苦しみながら、、もがきながら、、肌で感じた実情をご紹介します。
デイサービス増えすぎ問題

「参入の障壁が低い」理由は以下の通りです。
- 「泊り」がないため職員の「夜勤」がない。よって職員確保が他施設より容易である。
- 大きな土地や建物が必要ない。小規模デイならコンビニや美容室を少し大きくしたスペースで良い。
デイサービスは数が増えすぎて小規模事業所は「地域密着型」と言って、市町村が管轄・規制するようになりました。
昔のデイサービスが少ないときであれば、黙っていても集客が出来ました。
現在のデイサービスは飽和状態で過当競争になっています。
他のデイサービスとの差別化と営業まわりをしなければ、集客ができないのが現実です。
集客できないと、もちろん収益が上がらないので、どのデイサービスも集客するために工夫と苦労をしています。
デイサービス収益構造の特徴
デイサービスに限らず「介護保険」のもとで運営している介護施設の収益構造は、以下の通りです。

※厚生労働省のHPから引用
デイサービスは市町村から原則9割、利用者からも原則1割、利用料としていただき運営をしています。
ざっくりですが、利用料金が10,000円であれば、市町村から9,000円、残りの1,000円は利用者からいただくわけです。
私が思う他業界との収益構造の1番の違いは、
「介護報酬」の金額があらかじめ決まっているということは、
利用者に1日中テレビを見せるだけで何もしなくても、リハビリを行い人員をかけて手厚いサービスをしても
どのデイサービスも入ってくるお金は同じです。
他業界であれば普通は手厚いサービスを受ければ、それだけ料金は高くなりますよね。
例えば飲食業界でも原価の高いものは、それだけ料金が高くなるのが当たり前です。
他業界から見れば、この異質な収益構造が介護施設(デイサービス)の最大の特徴と言えます。
厚生労働省が決めたルールがある
では儲けるために「全く人員をかけずに、適当なサービスをすればいいじゃないか!」と思われたかもしれません。

またデイサービス運営には、厚生労働省が定めたルールがあります。
- 利用者が〇人いれば、職員は〇人配置しないといけない
- 利用者1人当、これぐらいのスペースが必要
- この資格(介護福祉士など)を持った職員を配置しないといけない
ルールがないと、人件費を抑えまくるために利用者20人を1人の職員で対応させて、利益を上げようという悪徳業者が必ず現れるからです。
ある程度デイサービス運営が滞らないような設備や人員を満たさないと運営自体ができません。
決められたルールの中で収益を上げる
これまでの話しをまとめると、デイサービスには次の特徴が浮かび上がります。
- 介護報酬(入ってくるお金)が決まっている
- 必要設備、人員など決まったルールがある
つまり、決まりきったルールがある。
その中で正しく経営していれば「大きくは儲けることはできないが、そこそこ儲かる」という最初にお話しした図式になるわけです。

40歳以上になると支払わないといけない「介護保険」いわゆる「税金」でまかなっている事業なので、国がコントロールするのは当たり前と言えば当たり前なのです。
誰がやってもそこそこ儲かるのか?
では「決められたルールがあるのだから、それを守ってやれば誰でも儲かるのか?」という疑問が生まれます。

いくら決められたルールがあると言っても、そのルールを守るだけで後は何もしなくて良いわけではありません。
ルールを守るのは法令なので大前提として、絶対にやらないといけないことです。
これは他の業界も同じだと思いますが、プラスαで他のデイサービスとの差別化を図るために経営努力が必要です。

確実に収益が入ってくるのはメリット
確実に決まった日時に収益が入るのは「介護保険」のもとで運営している介護施設の大きなメリットです。
なんせ9割の介護報酬は市町村から入ってくるので、取りっぱぐれがないのです。
収入が入ってくるのが、遅れることもツケになることも、値引きを交渉されることも絶対にないのです。
介護報酬が入ってくるのが2ヶ月後になる「遅れ」はありますが、確実に収入が入ってくるのは間違いないです。
今後のデイサービスの展望
デイサービスに限らず、介護保険のもとで運営している介護施設は
これまでと同じサービスをしていても「介護報酬」が下がれば、それだけ収益が下がります。
この介護報酬の改定は今年(令和3年)に実施され、3年に1回改定されます。
ご存じの通り「介護保険」の財源が厳しい状況なので、今後も大幅な介護報酬増は望めません。
しかし、介護職員の給与の低さから、厚生労働省(国)は介護職員の給料を上げる施策はこれまでも、これからも立ち上げる予定です。
厚生労働省(国)としては、施設の利益は抑えつつ、介護職員の待遇だけは良くする算段ではないでしょうか。
そこには「これまで十分儲けさせてあげたでしょ!だから我慢してね!」という意図が見え隠れしています。
確かに介護業界の中でも、特にデイサービスは「儲かる」の時期があったのは事実です。

だからこそ、デイサービスが爆発的に増えたのです。
コンサルティング会社や建設会社など「儲け話」に鼻が利く企業が「デイサービス儲かりまっせ!!」と煽ってきた結果が、今のデイサービス飽和状態を招いています。
今後デイサービスで「そこそこ儲ける」ためには次の事項が必須です。
- 他のデイサービスとの差別化できる「売り」を作る
- 母体が「病院」など自動的に利用者を紹介するシステムを構築する
デイサービスの収益アップ方法をまとめました。
私は介護施設を経営する仕事をしています。 自分がオーナーではないですが、これまで次の介護施設の経営に携わっており、現在進行形で経営をしています。 有料老人ホーム(サ高住) デイサ[…]
まとめ
デイサービスを実際に経営している経験から「デイサービスは儲かるのか?」について、リアルな実情をご紹介しました。

高齢者が増え続けている日本で、デイサービスの担う役割は大きいです。
- 高齢者の心身機能の維持
⇒高齢者の心身機能を向上させるのは正直難しいので、現状維持が目的。
- 家族の介護負担軽減
⇒日中だけでも家族の介護負担をなくす。
超高齢化社会を迎える日本で、デイサービスは主にこの2つの役割を担います。
デイサービスを経営するには様々な努力と工夫が必要です。
しかし、これはどの業界でも経営するには必要なことですよね。
デイサービスは全く儲からないことはないです。
「社会的貢献ができ、そこそこ儲かればいいや」という考えの方は、ぜひ経営にチャレンジしてみてください!
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